【人材育成編】社員の能力を向上させるには、まずは"上長の教育能力向上"を優先するべき理由とは?
多くの企業では、管理職である上長の能力の限界によって、将来その企業の未来を背負って立つ若い社員の能力が制限されています。
新入社員教育では、入社時に企業理念や一般的な社会人教育などの研修が行われます。
座学での知識面の研修や、OJTといった形で取り行われることが多いのではないでしょうか。
たいていの新入社員は新しい会社に入社したこと自体が新鮮な感動体験であるため、その時点のモチベーションは高く研修内容は効果的に働きます。
しかし、現実的な社員の能力を向上させる教育は、そうした特殊な環境で行われる教育ではなく、日々の仕事の中で行われる上長からの実践的な教育です。
さてここで、上長の中にどのくらい教育に関する専門的なノウハウを持った方がいらっしゃるでしょうか?
ここで深掘りするべきなのは「教育に関する専門的なノウハウ」とは何か?ということになります。
例えば、専門的に教育に関するノウハウを持つ人間というと「学校の教師」があげられます。
教師は教壇に上がる前に「授業案」というものを作成します。この授業案には授業の流れに沿った学習計画の他に、「予想される子どもたちの反応と対策」が必ず書き込まれています。
この課題を出した時に、Aグループはスラスラと解くことができるが、Bグループはつまずくだろう。またBグループの中でも文章の読み取りで間違える子ども、計算で間違える子ども、単位変換で間違える子どもなど、一人ひとりの児童生徒の発達段階に応じた間違いを想定して、それぞれの子どもに対する手立てを授業案には書き込みます。
もちろん想定した子どもの反応とは異なる反応で、教師が授業中に慌てる場面も多々ありますが、そのようにして教師には教育に関する専門的なノウハウが蓄積されていきます。
対して、新入社員の教育を任されている各企業の上長の方は、どの程度の教育に関する専門的なノウハウをお持ちでしょうか。
学校の教師ほどではなくとも、どの程度一人ひとりの社員を理解するためのノウハウをお持ちでしょうか。
多くの企業の上長の方は、営業成績が優秀であったり、職場での人望が厚かったり、企業人としての経験が豊かな方であるはずです。
しかし、企業の中で培われた能力と人材教育で必要なノウハウは必ず同じであるとは限りません。
人材教育には「教育に関する専門的な視点」で見取ることのできる新たな能力が必要となります。
上長の社員教育のための能力を向上させることこそが、新入社員の能力を高め、離職を低減させることにつながっていきます。
人材育成=「新入社員など経験の浅い人材に対しての教育」となりがちですが・・・
企業の人材育成では、まずは教育をする立場の上長が「教育をする能力を身に着ける」といった視点も取り入れてはいかがでしょうか。